天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

『昭和短歌の精神史』(3)

 いよいよわが国が大東亜戦争に突入していく場面である。当時の詩人も歌人もみんなが米英を憎んでいた。真珠湾攻撃に成功し、米英との開戦になった時、晴朗な気分になり拍手喝采した。その最大要因は、ABCD陣営の包囲網による経済制裁により、石油購入の道を閉ざされたことである。このままでは国が滅亡する、との危機感が国民にあった。
 現在の北朝鮮の状況に酷似していないだろうか? 金正日と軍部による独裁体制にとって、国連や五カ国が要求する事項は、とても受け入れられる条件ではなかろう。核開発、ミサイル実験を中止するなど、現体制が崩壊することを意味するはずである。かつてわが国が戦艦数を減らすことを要求されて、戦争に向う一因になった歴史を思ってしまう。
仮に核開発、ミサイル実験を継続できるとして、また五カ国による経済制裁を受けないとして、現体制はどうやって国を富ませるのだろうか?農業も工業も自給自足できる技術を持っていないようなので、武器輸出で外貨を稼ぐしかないのではないか?しかしこれは密輸でもしない限り、世界が認めるはずはない。つまりこのような政策は継続不可能である。
北朝鮮が国家として存続するためには、現体制から脱却して、自由主義国なみの民主主義体制に移行することが必須と思われる。だが、現状は絶望的である。なんとかソフトランディングできる手はないものか?

 思わず熱くなってしまったが、この本がそれだけのことを考えさせるのである。


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