天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

御幸ノ浜

小田原城の彼岸花

 明日土曜日が祝日なので、会社は今日金曜日を休日にした。振り替え休日などとったので、今週は全部休みになった。夏休みが中途半端だったので、その代わりと思っている。だが、近くにはもう行くところがない。
 小田原城、小田原文学館、御幸ノ浜、また小田原城と歩いた。目新しかったのは、小田原文学館構内に尾崎一雄の書斎が移築されていたこと、白秋童謡館の庭の植込み陰に先日亡くなった藤田湘子の句碑が建っていたこと。尾崎一雄志賀直哉に師事した小説家だが、全く関心がない。作品を読んだこともない。小田原との関係も知らない。一方、俳人の藤田湘子は小田原出身であり、その生前の活躍には関心があった。代表作「愛されずして沖遠く泳ぐなり」が件の句碑になっているのである。彼の墓が箱根湯本の早雲寺にあることは、以前に書いた。
 御幸ノ浜の名前の由来は、明治天皇が、明治六年八月四日にこの浜で地引網を御覧になったことからきている。皇后と一緒に箱根宮ノ下での避暑からの帰りに小田原に滞在された時のことという。


     落城の址の石垣曼珠沙華
     秋風や砂利を引き込む潮の音
     秋風や潮目に沿へる漁り船
     黒き犬あそばす秋の渚かな
     

  近くには三好達治の住居跡さくら落葉の西海子小路
  城攻めの軍船あまた見えしといふ御幸ノ浜の秋の波音
  台風の余波いまだ来ず黒潮の潮目を伝ふ魚釣り小船
  一夜城址の尾根見る小田原の渚の砂利をひく秋の潮
  この浜に地引網見しすめろぎを慕ひて名づく御幸の浜と