天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大楠の杜

樹齢2千年の楠

 新春の熱海の行ってきた。といっても温泉ではなく、来宮神社熱海梅園に、である。いかに暖冬とはいえ、さすがに梅も河津櫻も花には時期尚早であった。
来宮神社の境内では、仕事始めともなれば参拝者の数は少ないが、まだテントが残り、縁起物のお札や破魔矢などを売っていた。熱海梅園の梅まつりは、十四日からであり、園内の店は数軒が開いているだけで寂しい。もちろん訪れる客が少ないからである。数本の蝋梅と紅梅がわずかに花を開いているのみ。


      大楠の根方めぐるや去年今年
      巫女が売る破魔矢鏑矢楠の杜
      あらたまの鈴の音すがし巫女の舞
      紅梅や厠を出でてたちどまり
      探梅の径に人寄せ小鳥笛
      黒松の梢飛び交ふ目白かな
      探梅の甘酒すする二人かな
      
  大楠の根方めぐりてあらたまの年をことほぐひもろぎの杜
  新しき年のはじめの朝光にヒヨドリ来啼く大楠の梢
  赤錆の砲弾据うる忠魂碑かつて在郷軍人会あり
  蝋梅ははや匂へども白梅の蕾はかたき熱海梅園
  初川のせせらぎ聞きてたもとほる梅ヶ梢の甘酒の旗