桜と俳句
この時期の俳句や短歌の雑誌では、さくらをどう詠めばよいか、桜と作品の思い出といった特集が見受けられる。「藍生」四月号には特集「桜」として、いくつものエッセイが載っているが、中で岩田由美が書いていることが平凡ながら参考になる。
* 単純な言葉の強さ。細かく描写しようとして説明を加えると、
言葉の力が失われる。
* 花の客を観察する。職場の花見、一族あげての宴会、弁当を
開く老夫婦、幼稚園の子供たち、町内会など。
* 実際の景色を離れて言葉を組み立て直す。言葉の流れや
リズムを整える。
あげている例句の中から。
卒然と藪の中より花吹雪 野村泊月
花冷の闇にあらはれ篝守 高野素十
花を見し面を闇に打たせけり 前田普羅
だが、作意が表立つと失敗する。前田普羅の例がきわどいところ。