擬宝珠
ユリ科の多年草。日本、中国、朝鮮半島に30種程度が分布する。花の色には、白、紫、淡紫がある。若葉は食用になるという。俳句では、夏の季語。オオバギボウシ、コバギボウシ、スジギボウシ、タマノカンザシ、トウギボウシ、ミズギボウシ などの名を総称したもの。ちょっと見では、アガパンサスと間違う。
絶壁に擬宝珠咲きむれ岩襖 杉田久女
打渡す橋の擬宝珠しみじみと雨にぬれをりすがしみ橋の
尾山篤二郎
さりげなく路傍に咲ける擬宝珠は園芸品種よりも好もし
「歌壇」8月号の読者歌壇で、わが歌が取り上げられたので次に紹介しておく。
一日を釣りに過ごせる老人の群を見に来る川原鳩の群
[評]老人の群を川原鳩の群が見に来るという逆転の発想が
面白い。鳩らが言うには「人間の老人は暇でいいなァ」
と羨ましがっていようか。「オレたちは今日の餌は自分で
探さにゃならんものなァ」と慨嘆しているだろうか。
または「ちょいと揶揄してやろうか」など、鑑賞の広がる作。
青木昭子