天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

楊谷寺谷戸横穴墓群

横穴墓群

 大磯駅から紅葉谷を経由して湘南平にむかう途中に、この横穴墓群がある。古墳時代末期のもので、21基あったらしい。今の時期は、ひぐらしの声が鬱蒼たる木立にものがなしく響きわたる。
崖に掘った横穴に死体を葬る習慣は、洋の東西を問わず、どの大陸においても、大昔から存在していたようである。日本中世の横穴式墳墓は、やぐらと呼ばれる。特に鎌倉で多く作られた。埋骨施設であり、仏像を安置して供養する仏堂の役目があった。

      
      かなかなや暗き口開く横穴墓
      炎天の株暴落を目の当たり


  ひぐらしの声に応ふる気配あり楊谷寺谷戸横穴墓群
  くらぐらと谷戸のやぐらは口開きて次なるものをひもじく
  待てり


  あばかれしやぐらは暗き口を開く次に入る人あらずや蝉よ
  谷戸ふかく別荘廃れ庭園の鉄条網に蜘蛛が巣をかく