天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

狗尾草

吾妻山にて

 漢名も同じ。えのころくさ、と読む。名前の由来は、子犬の尾やころころしたからだからきたという。イヌコロがなまったものだろう。猫じゃらしという名の方がよく知られている。こちらは、仔猫をじゃらすところから。イネ科の一年草。ユーラシア、アフリカ、北米などにも広く分布する。



      狗尾草貧中子守歌やさし       清水其吉
      汽笛とおし伸べし脚間の猫じゃらし  古沢太穂
      ゑのころの風の広さに吉野ヶ里    稲富義明


  涙こらへてこのしづかさもまもるなるゑのころ草のをさな穂の風
                        福田栄一

作者の主観そのものの歌だが、ゑのころ草に添った情感がよく表現されていて、読者にもせつなく伝わる。うまい!