天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

長谷寺の緋鯉

 鯉はユーラシア大陸温帯域に広く分布している。北米やオーストラリアの鯉は、移植されたものが野生化したらしい。日本には有史以来棲んでいるようだが、万葉集には詠まれていない。
俳句では夏の季語として、緋鯉、白鯉、錦鯉 などがある。


      周防とや緋鯉の水に指ぬらし   飯島晴子
      

  最上川に住む鯉のこと常におもふあぎとふさまもはやしづけきか
                      斎藤茂吉
  国なかの村になまぐさき鯉を食ひ雲なびく葛城二上を見ぬ
                      前川佐美雄
  水深く日のさし透るひとところ膚明りて白き鯉行く
                      田谷 鋭
  虫焼し火をもて照らす夜の池ほのぼのと鯉のかほ並びをり
                      高野公彦