参謀
去る9月4日、瀬島龍三氏が95歳という高齢で亡くなった。中曽根政権時代のいわゆる第二臨調の委員として、土光敏夫と共に改革を推進した人物であり、先の大戦において天皇の統帥権を実務上行使した大本営参謀であった。
脆弱な安倍政権を心配して、中曽根翁は、自分の時の瀬島龍三に相当する有能な参謀がいないことを指摘していた。
共同通信社社会部編『沈黙のファイル』は、だいぶ以前購入して読んでいた。彼の死去の報に接してあらためて興味が湧き、更に保阪正康『瀬島龍三・参謀の昭和史』、瀬島龍三『大東亜戦争の実相』ならびに加藤哲太郎『私は貝になりたい』の3冊をネットで取り寄せた。
超がつくほど優秀な参謀であった瀬島には、つねに光と影がつきまとった。影の部分に興味があって、いくつかの書籍を読むのだが、いつまでも真実はわからない。
若くして戦死した数百万の将兵、その一因となった戦略を作成し、95歳の長寿をまっとうした参謀。簡単に概括してはならないが、歴史はいつも残酷である。