天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋雨

黄釣舟

 急に寒くなった。最高気温が十度も下がっては風をひいてしまう。夏の花と秋の花が混在して咲いている。鎌倉の萩は、今が花の盛り。


      地に落ちてつぼむ花なり酔芙蓉
      ものうげに萩の花ちる極楽寺
      ぎんなんのおもたく落ちて地が臭ふ
      土牢にしみじみ鳴ける地虫かな
      釣舟の黄の花愛づる和尚かな
      玄関に黄の釣舟を咲かせたり


  寄り添ひて立つ雄雌の銀杏には今年もあまたぎんなん生まる
  金色の仏の前に写経する背筋伸ばして老若男女
  さまざまの願ひ書きたる蝋燭の炎ゆらげり秋風の寺
  ささやかなる仏陀の願ひ聞き入れず発砲したりミャンマーの闇
  観光の女らの声ひびかひて説教の座は白けたりけり
  行儀よく順番を待つ犬たちと目が合ひにけり動物病院