天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

中原中也(1)

皇帝ダリア

 雨の日は郊外を歩く元気も出ない。鎌倉文学館に行く。見飽きるほど何度も来ているのだが、しょうがない。「企画展 中原中也」が開催されていた。原稿、創作ノート、手紙、愛用品などの資料を見た。中也風七五調で文学館の状況を書くと、

    雨がぼそぼそ降っていて 野点の席は部屋の中
    老人ばかり群れ集ひ 休憩室に居場所なし
    中原中也の詩を読めば 悲しみ甘く匂いたつ

というわけで展示を見たあとは、受付で角川文庫の詩集二冊『山羊の歌』『在りし日の歌』を買って外に出た。中也の詩集はすでに持っていたような記憶があるのだが、まあいいか。
文学館の庭に皇帝ダリアという珍しい花を見つけた。小さなバラ園には冬薔薇が雨に濡れていた。


      白絹の雨粒やどす冬さうび


  竹藪の竹と背丈をきそひたりゆらりと立てる皇帝ダリア
  白絹の薔薇に涙の雨粒のこぼれむばかり中原中也


[注]皇帝ダリア: 中南米原産のダリアの一種。一年で一メートルの
          丈になる。