冬薔薇といえば夏の薔薇と比べて淋しげな花の姿を思うが、近年は真冬でも色鮮やかな花をつける園芸種が多い。
つるばらの冬さくばらの白さみよ 久保田万太郎
冬薔薇石の天使に石の羽根 中村草田男
かぐはしき天使の顔と書かれたり鼻近づけて薔薇の香を嗅ぐ
余談だが、「かりん」十二月号の年間展望に、わが歌も紹介されていた。
幾人が梢に咲きて会ひにけむ半身不随の空挺桜
[評] 下句が、桜そのものに兵士の肉体を思わせて衝撃的である。
(老いを経ない不幸な死のニュースが今年も多かった、という
くくりに入っているが、若くして戦死した兵士を悼むわが
歌も取り上げてくれた。)