天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

椋鳥

[注]

 会社からの帰り、藤沢駅北口に出て驚いた。おびただしい数の椋鳥が、欅に群れてけたたましい声を上げている。近くには楠の木も二、三本あるのにそちらには全く止っていない。ヒッチコックのサイコサスペンス映画「鳥」を思った。そこに出てくるのは、無数の大きな黒い鳥だったように記憶する。
スズメ目ムクドリ科の鳥。夜間には集団でねぐらを共同にして眠る。白頭翁ともいい、俳句では秋の季語になっている。


      椋鳥(むく)の群去りし一樹の痩せにけり
                        山田弘子
  ケラの巣の古きにこもりし椋鳥の雛の立てれば親等も去りぬ
                        土屋文明


      椋鳥のこぼれんばかり欅かな
      吹き降ろす銀杏もみぢの東海道


  黄葉の欅に群るる椋の声ヒッチコックが夕闇に佇つ
  血塗られし畳を焼きぬそののちのちちのみの父ははそばの母


[注]右上の画像は、長浜自然写真館
http://www.ne.jp/asahi/ken-jii/randomphotodiary/nagahama.html
から引用してトリミング。