天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

くぬぎ

くぬぎ林

 「くぬぎ」は「くり似木」が訛った名前という説がある。葉が栗の葉に似てぎざぎざしている。くぬぎの実がどんぐりである。椎茸栽培の原木に使われる。漢字では、橡、椚、檪 などをあてる。


  争ひのこころわくとき部屋いでてくぬぎの下に
  落葉をぞ踏む           木俣 修         
                    

クリやクヌギは郊外の山林を歩くと容易に見つかる。里山に定番の樹木である。万葉集では、クリは三首に詠まれているが、クヌギは出てこない。


  なにごとか不満あるらしただ一羽啼きて水尾ひく今朝の
  カルガモ


  羊歯の葉にあはあは差せる朝の陽のくぬぎ林をわれはさびしむ
  ちり果てしクヌギの枝に鳥の巣かうち捨てられて黒きかたまり