天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

平氏池の白鷺

鶴ヶ丘八幡宮にて

 鶴ヶ丘八幡宮境内には、源氏池と平氏池のふたつがある。ぼたん園は源氏池の縁に沿っている。源氏池の方にはユリカモメ、各種の鴨などが群れているが、平氏池には鷺の類しか寄りつかないようだ。水深は浅い。この池に面しては美術館と喫茶店がある。


      寒鯉の背に泥つもるよどみかな
      足先に水底せせる冬の鷺


  ぶるぶると足震はせて水底の生き餌追ひ出す朝の白鷺


 白鷺を詠んだ短歌を二首あげておこう。ちなみに、万葉集では次の一首のみに白鷺が現れる。新古今集では、かささぎは出てくるが、不思議なことに鷺、白鷺は全く現れない。


  池神の力士舞かも白鷺の桙啄(ほこく)ひ持ちて飛びわたるらむ
                    万葉集・長忌寸意吉麿
  鷺白く佇ちて真冬の千曲川 一縷の意志のあはれ細脛
                        斉藤 史