天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

クロガネモチ

クロガネモチ(吾妻山)

 先の「風光る」の項に出てきた樹木につき補足しておこう。モチノキ科のクロガネモチは関東以西の山地に生えて、高さは10メートル位になる。五、六月に淡紫色四、五弁花を開く。小さな球形の実が群れて成り、秋に真赤に熟する。樹皮からとりもちを作ることができるが、鳥が木に止まったからといってねばねばした液体が出て鳥を捕らえるわけではない。 
 冬のさなかの晴れた空に、この赤い実が鮮やかに光る。小鳥たちも歓喜の声をあげる。


  ひよどりのいちやう公孫樹に来るは隣る木のくろがねもちの実る
  なりけり                 林 安一          
  霜うけてつやめく色を常盤木のもち木斛がたたへそめたり
                       長沢美津
  細えだのほ秀に咲くモチの白き花光なりわが梅雨のあけくれ
                       窪田章一郎