天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

万両

鎌倉・長谷にて。

 ヤブコウジ科の常緑低木。晩秋に赤く色づく小球形の実は、雪に映えると実に鮮やかである。多く実をつけるので千両と共に縁起ものの植物である。なお、千両はセンリョウ科であり、両者に類似性は少ない。




      杉苔に万両溺れ寂光土      富安風生
      座について庭の万両憑きにけり  阿波野青畝
      千両に障子を白くかくれ住む   松隅子


  漱(くちそそ)ぐ寺の壺庭苔ふかみ万両の実の赤さもあかき
                      木下利玄
  乱れふる雪に千両の朱の実がおぼろとなりてゆくまでを見つ
                      吉田正俊