パンジーとすみれ
路傍に置かれている観賞用のパンジーや野生のすみれの花が目に立つ季節になった。パンジーはフランス語pensee(考える)からきている。花の様子が考えているように見えるから名づけられた。スミレ科の二年草で欧州原産。十二月頃から咲き始め、三月四月が最盛期。
遊蝶花(パンジー)の一花(くわ)を過ぎりわれは暗む 遊蝶花は
ちひさきちひさき花なるを 葛原妙子
不様なる茂みに変わりパンジーの小さくなりし花なれば愛す
武川忠一
日本の「すみれ」は、万葉集の時代から歌に詠まれている。ツボスミレ、ノジスミレ、エイザンスミレ、シロスミレ、タカネスミレ、ニオイスミレなど50種ほどもあるという。
春の野にすみれ採みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける
万葉集・山部赤人
石の上ふりにし人をたづぬれば荒れたるやどにすみれ摘むなり
新古今集・能因