天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

弓弦葉

丸太の森で

 古名は、ゆづるは。弓弦葉の表記から、弓や弦の材になる木なのかと思って調べたが、違うようだ。万葉仮名の当て字らしい。譲葉と書けば名の由来がわかる。すなわち、新しい葉が出るまで古い葉が残るので、代々にかける橙と組合せて縁起を祝い、正月の飾りに使われる。




  古に恋ふる鳥かも弓弦葉の御井(みゐ)の上より啼き渡り行く
 (古余 戀流鳥鴨 弓弦葉乃 三井能上従 鳴済遊久)
                    万葉集・巻二―一一一

  ゆづる葉の紅ぬらす今朝の雨みぎりの雪をいたく解かしぬ
                    土屋文明
  ゆづる葉のむらがりあへるうれのへに雪降りしきるあかときあはれ
                    河野愛子