天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

栗の花

足柄郷にて

 栗はブナ科クリ属の果樹。六月に強烈な匂いを放つ薄黄色の花が咲く。



      逗留の窓に落つるや栗の花    去来
      いつまでも繋げる馬や栗の花   虚子
      栗咲く香血を喀く前もその後も  石田波郷


  大き鳶たわたわと来て過(よ)ぎるとき穂のあざやけき丹波栗の花
                      北原白秋
  梅雨そそぐ山のなだりの栗畑のどの木にも花の押し合ひて垂るる
                      土屋文明
  栗の花匂へば雨になるといふ雨の日曜はさびしきものを
                      大西民子
  いづこなる時間がいた腐む栗の花ふさりふさりと空すべり落つ
                      米川千嘉子