天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夏椿

藤沢市新林公園近くで

 藤沢市の新林公園に行った際、入り口の道路脇の植込みに白い花びらがたくさん散っていた。なんだろうと上を見上げ、木の肌を見て夏椿だと分かった。
沙羅双樹と俗称されるが、本物の沙羅双樹は熱帯樹であり関係ない。 では、『平家物語』の冒頭 「祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必滅の理をあらはす」の沙羅双樹とは何か? インドの情景を想像しているようでもあるが、すでにこの頃から夏椿のことをそのように呼んでいたのだろうか? 鎌倉では、明月院成就院、光則寺、収玄寺、大巧寺、長谷寺などで見かける。


      拳闘のグローブ干せり五月晴
      植込みに白ちりしくや夏椿
      くさむらに虎の尾出づる山路かな


  梅雨晴の朝に歩ける里山は風さうさうと木々を鳴らせり
  里山の道をたどれば奥処よりとぎれとぎれのうぐひすの声
  細竹に支へられたる山百合の倒れむばかり花七つ垂る
  里山の路に山百合咲き出でて人惑はする香ふりまく
  里山の小暗き道はあやふかり幼子とくる若き母親
  くさはらに朝の木漏れ日やさしきに雀は白き蝶を追ひかく