天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蚯蚓の夏

原石鼎こう子夫妻句碑(知足寺)

 みみずは、ミミズ科の環形動物の総称。陸生のミミズは夜に活動するらしい。調べた研究者がいるのだ。雌雄同体で秋に産卵する。俳句では夏の季語になっているが何故だろう? 釣の餌になり夏の早朝、畑でミミズ掘りをして釣に出かけるためか? あるいは、夏になるとミミズが路上に出て日干しになっているところをよく見かけるからだろうか?


  うは温む水泥(みどろ)がなかに縞赤き蚯蚓の仔らの
  生(あ)れてうごめく             明石海人             
  鋼(はがね)色の身をくねりゆく太みみずわが前(さき)の世の
  思ほゆるなり                 岡野弘彦
                           

 メタボ予防のために、暑い盛りを滝のごとき汗を流しながら吾妻山を歩いた。初めに知足寺の原石鼎・こう子夫妻の夫婦句碑を訪ね、山に登った。至る所で蚯蚓の日干しを見た。浅間神社の下方には、もう女郎花(おみなえし)が咲いていた。季節の移ろいが身に沁みる。


      手拭に薮蚊を払ふ山路かな
      山頂や榎根方の三尺寝
      影踏めば頭上にそよぐ合歓の花


  老人の講師がひとり拍子とり社交ダンスの型を示せり
  蚯蚓どち地中の熱に耐へかねて路上に出でしが日干しになりぬ