天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大磯

大磯城山公園

 JR大磯駅からバスに乗って、県立大磯城山公園に行った。何度か来ているが、夏は初めて。各種の草木があり名札がつけてあるが、花の時期でないので、木蔭の下を歩くのみ。公園内からは縄文時代の遺跡や横穴墓、鎌倉古道などの遺産が発見されている。明治の末に、この地は三井財閥本家の別荘地となり、中心的建築物「城山荘」や展望室「降鶴亭」、国宝の茶室「如庵」などが建てられた。戦後の財閥解体に会い、三井家の手を離れて放置されていたが、公園化計画により整備され、平成2年に神奈川県立大磯城山(じょうやま)公園として全体が公開された。車道を挟んで向かいには、吉田茂の大磯邸跡地がある。


      わが背に蝉ぶつかりて鳴きにけり
      門を入る鴫立沢の蝉しぐれ


  大磯の海沿ひにくる自動車の光まぶしきフロントガラス
  思ほへず踏みさうになるかたつむり小石と見えし木隠れの道
  この鯉の値やいかに大磯は旧三井家の別邸の池
  池の辺に立てば寄りくる鯉のむれ岩のめぐりを泳ぎてやまず
  この池に幾年を生く人くれば寄りて口あく色鯉のむれ
  見る人もなく荒れはてし邸園の片丘に立つ青き銅像
  足元に白波寄する大磯の沖にうかべるふたつ釣舟
  西行の旅を思ひてわがたどる白波寄する大磯の浜
  砂浜は歩きがたしもくり返す波音にわが前のめりなる
  砂浜に女坐らせ釣をする男ありけり大磯の夏
  アオバトのくる照ケ崎夏なれば海水浴のテントが並ぶ