天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

かたつむり

大磯城山公園にて

 蝸牛。広辞苑によれば、マイマイ目陸生有肺類巻貝の一群の総称とある。でんでんむし、ででむし、まいまい、まいまいつぶろ、エスカルゴ などの呼び名がある。女性歌人はかたつむりをよく歌にするようだ。わけても小島ゆかりに多い。彼女自身が「短歌」8月号の特集で、よくも詠んだものと述べている。


  家負ひてあるく蝸牛(ででむし)、思ひ出も残さであはれ
  あるく蝸牛。                窪田空穂

           
  秋雨はゆふべに晴れて石にゐる蝸牛(かぎゆう)の殻の
  すきとほるとき               前川佐美雄


  蝸牛(エスカルゴ)無言家族が四方よりフォーク刺し違へて
  暮の秋                   塚本邦雄


  降り出でて熊野は深きつゆの雨まひまひつぶろ舞はでひそめり
                        馬場あき子  
  かなしみのかたつむり一つ胸にゐて眠りても雨めざめても雨
                        小島ゆかり