天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

孔雀の死

秋海棠(光則寺にて)

 鎌倉の長谷に光則寺という寺がある。日蓮佐渡に流された際に、弟子の日朗が人質として幽閉された土牢が裏山の中腹にある。境内には、名札のついた様々の花が植えられていて、花の寺としても知られる。特にカイドウの花は有名。
以前にも紹介したが、実は池の裏手に非常に長生きの孔雀が棲んでいた。それがこの八月十四日に死んだことが、小屋の金網にかけられたありし日の写真にプリントされていた。この寺を訪れるたびに必ずこの雄の孔雀のところにも顔を出していたので、ショックを受けた。悲しかった。よって今回のブログを彼に捧げる。


      もののふが住まひの跡や萩の花
      枯葉ちる西の結界普明山
      三体の子供地蔵や竹の春
      蝉声のかぼそくなりぬ雨やどり
      長生きの孔雀亡き小屋薮蚊出づ
      ありし日の孔雀をしのぶ秋海棠
     
  霧深き七里ガ浜に現るる黒きサーファ海の方より
  鋭き声に吾を迎へし長生きの孔雀はつひにはかなくなりぬ
  華麗なる羽根ひろげたるありし日の孔雀の写真小屋にかかれり
  礼状は「あそんでくれて、ありがとう」孔雀の棲みし小屋に
  かかれり