天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鬼薊

剣崎にて

 あざみはキク科アザミ属の多年草の総称で、日本には70種くらいあるという。春から秋にかけて開花する。特に鬼あざみは、初夏から秋に濃い紫色の頭花をつけてうなだれる。あざみ、花薊は春の季語。これはよく見かけるノアザミを主体に考えたからであろう。


 
  くらき夜の大寺を吾出でくれば薊の花に稲妻のしつ
                      川田 順
  ここを過ぎれば人間の街、野あざみのうるはしき棘ひとみに
  しるす                 塚本邦雄
  リフトより垂らすわが肢すれすれに茎たちそよぐ薊の花は
                      畑 和子