天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

北斎「相州七里浜」

 海や湖に沿った水際の平らな砂地。浦とどう違うのか、辞書を見ても地図を見てもよく分からない。実際に両者の現地に立って見比べても分からない。浜辺という言葉もある。よく知られた浜として、九十九里浜、七里ガ浜、吹上浜、弓ヶ浜 など。



  秋風もまさごに落ちてくもりなき月の光やふきあげの浜
                   烏丸光広
  とほどほに波寄る浜は恋ほしくて風に流らふしぐれの雨は
                   柴生田稔
  中空の月よりわたる明るさに浜ひくく見え海ひくく見ゆ
                   佐藤佐太郎
  天地の四方の寄合を垣にせる九十九里の浜に玉拾ひ居る
                   伊藤左千夫

和歌では浜風の形でもよく詠われた。

  淡路の野島が崎の浜風に妹が結びし紐吹きかへす
                 万葉集・柿本人麿
  うづらなく真野のいりえの浜風に尾花なみよる秋のゆふぐれ
                   金葉集・源俊頼
  浜風にかわき白める屋根のうへに秩父の山ははるかなるかも
                       太田水穂