天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

栗鼠

藤沢新林公園にて

 齧歯目リス科。わが国にはキタリス(エゾリス)、ニホンリス、ホンドリスなどがいる。近年は台湾リスが渡来し、繁殖してわが世を謳歌している。これは1935年に伊豆大島の公園から逃げ出したのがもとになって、神奈川、静岡、岐阜、大阪、和歌山、長崎など日本各地に広がったためである。場所によっては観光用に積極的に持ち込んだかも知れない。餌の少ない冬には、樹木の樹皮をはがして食べたり、電線・電話線をかじる、家屋をかじるといった被害も出る。


  城壁の石の破れ目に縞栗鼠は姿を隠すしづかなる晝
                       石井柏亭
  山深く入り来し我を驚かし栗鼠あらわれて木に走せのぼる
                       窪田空穂
  栗鼠ふたつ渓あひの岩に遊べればかささぎも来て戯れむとす
                       若山牧水
  この庭の落葉に転(まろ)ぶどんぐりは冬越す栗鼠のために
  残さむ                  林 光雄
  ひとつずつ食器を紙でくるみゆく作業は秋の仔リスにも似て
                       早川志織


  里山は台湾リスのほしいまま生木齧りて歯をみがくらし