天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ある朝に

境川の白鷺

 切符を買いに藤沢駅まで歩いて往復した。行きは境川沿いに歩き、帰りは遊行寺境内から小栗堂に立ち寄り旧東海道を歩いた。夜が明けると森や林に眠っていた様々の鳥が餌をとりに田や畑、野川に飛び出してくる。先日は鵜だったが、今回は白鷺(コサギ)を何羽も見かけた。


  餌とると野川見下し白鷺の二羽舞ふ空の
  春のあけぼの


  田の空の水道橋に巣掛けたるチュウヒを写す老人の群
  朝光をちらしてまぶしせせらぎの川面みつむる一羽白鷺
  水槽に飼はれてかなし箱河豚は人目気にして餌を探せる
  見かけより心根やさし箱河豚は小さき魚に席をゆづりぬ
  水槽に幾年を生くハコフグの寿命思ひて立ち去りがたし
  めづらしき羽のもやうの鳩見れば混血すすむ遊行寺の庭
  照手姫之墓に枝垂るる白梅の光まぶしき朝 小栗堂