天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

巣箱

座間谷戸山公園にて

 神奈川県立座間谷戸山公園の山路は恰好のジョギングコースになっている。休日ともなれば、近所の老若男女が朝から走っている。これでは、小鳥の観察小屋があっても巣箱が懸けてあっても鋭敏な小鳥は寄り付かない。巣箱はあちこちにかけてあるのだが、これは里山の雰囲気作りなのだろう。


      鷹の爪かたはらに置くすみれかな
      竹筒や水琴窟の春の音


  湧く水の座間の里山鴨どちが岸辺にねむる水鳥の池
  あづさゆみ春の朝日をあびて立つクヌギ、コナラの真裸の森
  静かなる水面に波紋たてたるは潜きて浮けるカイツブリらし
  真裸のコナラの幹に小鳥待つ春の朝日の森の巣箱は
  落葉つむ谷戸の沢辺に余念なく虫を探せるコムクドリはや
  ヤマガラの姿撮らむと構へればツツピーツツピー
  とび去りにけり


  真昼間に星影うつす井戸といふ霊異はあれやわが覗きこむ