天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

杉の花

左:雄花 右:雌花

 杉はヒノキ科の常緑針葉樹で日本の特産。花には雄花と雌花があり、2月から4月に開花する。雄花は枝先に淡黄色楕円形の花序を鈴なりにびっしりつける。雌花は緑色球形の松笠に似た花序をつける。枝先の雄花に対して、雌花は枝元近くに位置する。雄花の花粉は長距離を飛んで雌花と生殖作用を行う。風媒花なのだ。果実は長さ2〜3cmの卵状球形で、10月ごろ緑色から褐色に成熟する。実は恥ずかしながら、雄花を杉の実と誤解していたのだが、世の多くの人もそうであるらしい。
 今頃のテレビの天気予報では、花粉情報も流れる。杉花粉によるアレルギー被害つまり花粉症が広まるからである。


  薄霧らふ黒き森より吹き出でし杉の花粉の色を引きゆく
                      千代国一
  吹きわたる風に乗るとふ杉の花 見えざるものに人は苦しむ
                      蒔田さくら子
  目に見えぬ杉の花粉は山を降りことしの春も妻をいぢむる
                      小池 光
  杉山に枝打ち終えて帰る道野良着に杉の花粉の匂う
                      瀬谷よしの


      木蔭濃き散在ガ池残る鴨


  新しき注連縄張れる境内に杉の花咲く白山神社
  山間に陽樹と陰樹生い立てり灯油売りくる鎌倉湖畔