天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

木瓜(ぼけ)

鎌倉・長谷寺にて。

 中国原産のバラ科の落葉低木。開花時期は、11月中旬から4月中旬まで。実が瓜のような形であるところから「木瓜」と呼ばれた。


  妻亡くて十三日目と数へみる塵芥(ごみ)
  捨つる庭木瓜赤ければ       田谷 鋭
                        
  月明の夜はすくすくと伸びてゆく棘もうれしき
  大木瓜木瓜           安永蕗子
                        
  室内に木瓜ほころびて日常の襞なる部分へ
  くれなゐ流る           雨宮雅子
                        
  拙を守り来世は木瓜になりたしと漱石のいふ拙を肯ふ
                   今野寿美
  堕天使の歩む背後に言い知れぬ幸いとして赤き木瓜咲く
                   花山多佳子