天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春の海

片瀬漁港にて

 このところ異状といえるほど暖かい日が続いている。湘南海岸に立つと二月なのに、はや蕪村の句のようなのどかな春の海が広がる。


  たわたわと空とぶ鷺の羽に透くうすくれ
  なゐのかなしかりけり


  泡あまた流るる川にならびたる鴨は何かを
  しきりつひばむ


  馬手(めて)に富士弓手(ゆんで)に江ノ島きさらぎの
  渚まぶしき湘南の海


  紙コップの底突き破る嘴太のカラスがあそぶ朝の砂浜

  渚辺をつらなりとべる鵜の鳥は河口にいたり川上にゆく

  朝光(あさかげ)の片瀬漁港に浮くブイのひとつひとつに
  止る鵜の鳥