天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

沈丁花

白沈丁花(円覚寺にて)

 中国原産、ジンチョウゲ科の常緑低木。花の香りを沈香や丁香にたとえたところからの命名。英名では「ウィンター・ダフネ」という。ダフネとはギリシャ神話でアポロンが初めて恋した美少女。アポロンに追いかけられて逃げきれず、月桂樹に化した。



      沈丁花より大寺の風に入る     松澤 昭
      沈丁の坂開港のむかしより     宮津昭彦


  沈丁の薄らあかりにたよりなく歯のいたむこそかなしかりけり
                       北原白秋
  かきむしる悲しみというに遠けれど亡き母の日に匂う沈丁花
                       武川忠一
  沈丁の白の蕾に雪降れり沈丁の白みどりなりけり
                       石本隆一


      初恋のかをりなりけり沈丁花 
      沈丁花辻ノ薬師を通りすぎ