天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

横浜開港百五十年

日本丸(横浜桜木町゙にて)

 大赤字のプロジェクトに終ってしまった。3箇所の会場の入場者数がもくろみ500万人を大きく割り込んで100万人程度になった。内容の割りに入場料が高すぎた。こんなに杜撰なコスト見積は前代未聞だ。私自身、会場の入口まで行って、入場料の高さに止めてしまった。責任者の中田市長も首謀者の副市長も責任を問われる前に、早々に退職してしまった。貴重な山野を切り崩して、使用効率がゼロに近い公園を作ってみたり、腹立たしいことこの上ない。経営センスのない議員や自治体首長が多すぎる。高い地方税を払っている身としては、まったくやりきれない。


      防波堤象の鼻には青葉潮


  赤煉瓦倉庫に入りて冷房にしまし息継ぐ炎天の午後
  二人分のばらばら肢体うかび出で横浜開港記念さはがし
  わが国の沿岸警備にとらはれし工作船の弾痕が見ゆ
  横浜港大桟橋に今日は見ず世界をめぐる豪華客船
  波高き荷役なりけり横浜のイギリス波止場税関波止場
  ありし日の姿とどむる氷川丸山下埠頭に二度とうごかぬ
  たちこむる夜霧の町に点りたる瓦斯灯を想ふみなと大通り
  うめたてて吉田新田なりし後演歌にうたふ伊勢崎町はや
  わが鼻も老いたるらしも潮風に匂はざりける梔子の花
  船積みの人と貨物をはこびけむ馬車道汽車道、外灯の道
  水無月の大観覧車に見下せば運河にうかぶ夕涼み舟
  潮風の汽車道に沿ふ朝顔はあかりふふみて水色に咲く
  閉ざされしドックヤードにうかびたる帆船日本丸に乗り込む
  バス、トイレ専用にある船長の個室うらやみ帆船めぐる
  一部屋にベッド八つをつめこめる閉所恐怖に耐へがたき夜も
  船酔をくり返しつつ慣れてゆく八十日の航海なりき
  ペンをとりその日のうちに簡潔に英語で記す航海日誌