天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋明菊

鎌倉長谷寺にて

 別名、貴船菊、漢名は秋牡丹。秋冥菊とも表記する。キクの類とは無関係で、アネモネの仲間でキンポウゲ科多年草である。


      まっ白な僧衣の干され貴船
                萩原起代子


 今の時期、鎌倉の寺をめぐると庭で秋明菊をよく見かける。極楽寺長谷寺、光則寺といういつものコースをたどったが、長谷寺の写経場横に咲いていた。


      箒目の跡に落葉や極楽寺
      青竹の根方に群るるほととぎす
      柿熟れて梢に光るディスクかな
      
  東海を出づる朝日の長谷寺の屋根にかかれる十月桜
  肉厚の秋明菊のかがやきに指触れてゐる長谷寺の朝
  橘の実のつややけき寺庭は谷戸の梢の百鳥の声
  柿の実のあまたなりたる梢にはディスク光りて風に揺れたり