天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

皇帝ダリア

小田原文学館の庭にて

 最近夏以降、この花をよく見かける。大磯の湘南平の裏、大楠山、小田原文学館や鎌倉文学館の庭などである。木立ダリアとも言って、高いものでは、丈が3mから5mまでになるという。もともとダリアはメキシコ産のキク科の多年草で、わが国には、1842年にオランダ船によりもたらされ、テンジクボタンと呼ばれた。18世紀に欧州に渡って以来、さまざまな品種に改良された。20種程度あるらしい。夏から秋に花咲く。ただし、皇帝ダリアの花期は、11月の冬である。


  君と見て一期の別れする時もダリヤは紅しダリヤは紅し
                     北原白秋

     放たれし女のごとく
     わが妻の振舞ふ日なり
     ダリヤを見入る         石川啄木
                     
  おもかげに顕ちくる君ら硝煙の中に死にけり夜のダリア黒し
                     宮 柊二
  鮮紅のダリアのあたり君がゆかずとも戦争ははじまつてゐる
                     塚本邦雄
  故しれぬ焦らだちに身もあつき夜を白きダリアを剪るべくたてり
                     蒔田さくら子


 皇帝ダリアを詠んだと思われる歌があるかどうかは、分からない。