天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

椰子

冬空の椰子(江ノ島にて)

 狭義にはココヤシをさすが、広くはヤシ科植物の総称。主として熱帯地方に分布するが全世界で約220属2500種ある。日本にはビロウ、クログツ、ヤエヤマヤシ、ノヤシが自生。熱帯地方では、ココヤシ、アブラヤシ、ナツメヤシ、サゴヤシ、サトウヤシなどは、食用以外に、建築材料、街路樹、油料植物などにも多用される。


  たたかひのきびしきさまもつひにさびし椰子の汁をのむその樹
  のかげに                    橋本徳寿
                           
  椰子林の青きは燃ゆるごとくにて月出づれば敗戦の隊を点呼す
                          前田 透
  やつれ椰子風に吹かるる東京の波止より一夜寝る距離の旅
                          馬場あき子


椰子が象徴するものとして、ヨーロッパでは、1.美徳 2.高揚、狂喜、勝利 3.自己再生 4.愛、多産、母性 5.潤沢 など優良なイメージなのだが、わが国では上の短歌に見るように南方戦線の思い出ややつれ など負の印象がくるようである。