天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

書棚から

 印刷技術が出て来るまでは、粘土板、パピルス、木片、竹片、羊皮などに絵や文字が彫られたり書かれた。羊皮や紙にしても現在の装丁方法が出て来るまでは、巻物、折り物などの形態であった。


    いつか是非
    出さんと思ふ本のこと
    表紙のことなど
    妻に語れる              石川啄木
                        
  こまごまと日記の中に恋ふるごと読みたき本を書きつらねける
                       植松寿樹
  ふところに本をかくして今日もまた、真昼の街を車ひきけり
                       渡辺順三
  包装紙匂へる本の手に重し日本に永く平和つづけよ
                       田谷 鋭
  空には本それをめくらんためにのみ雲雀もにがき心を通る
                       寺山修司