天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

イヌフグリ

松田山にて

 ゴマノハグサ科の二年草。実の形が犬のふぐりに似ていることから、可憐な花にそぐわない味気ない名前がついた。ヨーロッパ原産で明治初期に渡来したオオイヌフグリが多い。


     犬ふぐり大地は春を急ぐなり    阿部みどり女
     殉教の地の土赫し犬ふぐり     山田美保


  冬を咲くイヌフグリあり息づきのはずみて登る安房の山坂
                      田谷 鋭
  犬のふぐりの細かき花にかこまれて小屋から一歩も出られない
                      山崎方代
  昨日まで雪かむりゐし大寒の犬のふぐりが咲きはじめたり
                      石川不二子
  去年(こぞ)の嵐に倒れたる木の切株をかこみて青し犬ふぐりの花
                      花山多佳子


    今日は晴れ明日は雨とよイヌフグリ