天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鎌倉と詩人たち

鎌倉文学館にて

 鎌倉文学館では、4月18日まで「鎌倉と詩人たち」―ことばを旅するー と題した展示がされている。詩に関して述べた詩人たちの短い言葉が興味深い。


「兎も角も先蹤を離れやう、詩歌といふものをもつともつと
 自分等の心に近づけやうと試みた。」      島崎藤村

「要するに詩歌の生命は真実にある、自分の動かされたもので、
 人を動かさなければ駄目だ。」         北原白秋

「詩は人間の言葉で説明することの出来ないものまでも説明する。
 詩は言葉以上の言葉である。」        萩原朔太郎

「詩は小説・随筆その他の文章とちがって言葉の芸術のエッセンス
 のようなものだ。」              尾崎喜八

「詩歌は手放しの粗野な言葉の間にはない。」   三好達治

「詩を、大いに推敲しようとするな。詩はまた生き物である。
 いぢくりまはせば死す。」           中原中也

「一行と一行の間のブランクが深い谷間になるような詩を書きたい。」
                        田村隆一

「僕たちの言葉があまりにも不完全で、恒常的な場所を
 持ちえないことを痛切に知るからこそ、僕たちに詩が
 したわしいのだ。」              山本太郎


    落ちて来し星のなみだか龍の玉


  シラカシを仰ぎてくぐる招鶴洞出でてまた見るシラカシの木々
  「鎌倉を生きて出でけむ初鰹」招鶴洞をくぐりて読みぬ
  鎌倉に住みし文人あまたあり原稿見れば個性思ほゆ
  原稿に推敲の跡おびただし読みがたければ同情したり
  目の前のチリ大地震の映像は「ツナミ」「ツナミ」と叫びて走る