天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

四拍子文化論

ちくま学芸文庫

 別宮(べっく)貞徳『日本語のリズム』を読んだ。以下に、興味ある部分を要約しておく。


*和歌のリズムの音符表現
 音符をもってあらわされた和歌のリズムも、ある意味では大ざっぱな
 およその見当であり、決して数学的に割り切れるものではない。・・・
 日本語の音節の等時性にしてもしかり。日本語の音節はほぼ同じ時間
 (長さ)に発音される、ということを意味するにすぎない。和歌が
 四拍子というのも同じ。和歌はほぼ各音八分音符の四拍子をもって
 あらわすことができ、各句を読むのにほぼ同じ時間をかけていると
 考えてよい。意味するところは、実はそれだけである。


*七五調の発生
 片歌(五七七)、旋頭歌(五七七五七七)、仏足石歌(五七五七七七)
 五七調では、五音句と七音句が意味的に結合されていて、五音句の
 頭に休みを置き、五七を続けることによって、それが実現されている
 が、七音句を読んだいきおいで休みをとばして五音句を読み、かわり
 に五音句のあとで休めば、そのまま七五調になってしまう。


*和歌の破格(字余り・字足らず)といえども四拍子を破ることは全くない。


*歌謡の系譜:
  梵讃 → 漢讃 → 和讃 → 今様 → 小唄
  → 都々逸、隆達節、弄斎節、江戸小唄、端唄