天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

足利の大藤

栃木県足利市にて

 このところ藤の花に拘ってきた。藤の名所は全国にあるようだが、たまたまJR藤沢駅でみかけた旅行パンフレットの中で、栃木県足利市のフラワーパークの大藤まつりに惹かれた。それから日時が経ってしまい、まつりの期間は過ぎていたので、もうダメかと思いつつ出かけてみた。気候不順が幸いしたか、まさに満開の時に遭遇した。紫の大藤、白藤のトンネル、八重黒龍藤などすばらしい、の一語につきる。花の色が黄の藤をはじめて見た。ただ、紫や白の大藤と違って、花房にまとまりがなく少し見劣りがした。広大な庭園で長年育てるとこうも見事に成長するのだ。園内に250トンを超える炭を敷き詰めて植物の活力を高めているという。
入園料は、花の咲き具合で変えているが、千六百円は満開時の料金であった。


    藤波は百四十年のかをりかな
    白藤の長きトンネル蜂狂ふ
    藤波の香に包まれて香を忘れ
    藤波のかをりに噎せる日差かな


  百四十年経し足利の藤棚は紫雲たなびき風かをるなり
  白藤の花垂れこむるトンネルに蜂の羽音の狂はむばかり

  
 ちなみに、自然の山藤では、むかし中津川渓谷で出会ったものが忘れられない。