天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

熊の棲む山

大山下社付近にて

 運動量が足りないことを反省して神奈川県伊勢原市の大山に登った。といっても山頂にではなく、麓の大山駅から下社までの女坂を歩いたにすぎない。以前は、年に二度は山頂まで行っていたのだが、帰る時間が夕方になるので最近は決心がつかない。それに驚いたことに、下社のケーブル駅の参道に、「熊出没注意」の看板が出ていた。去年の暮れに来た時にはなかった、いや気付かなかったのだ。大山で野生の鹿はたまに見かけるが、熊に出会ってはたまらない。


     柿若葉バスすれ違ふ這子坂
     山藤の花房垂るる谷の音
     山あをむ木立の奥の仏法僧


  女の坂の苦しさ無聊なぐさむる七不思議あり大山詣で
  山ふかみとほき世のこと語るらくかそけき声の仏法僧は
  トンネルの壁を市民の画廊としスプレーに描くブロントサウルス


 余談になるが、野生の熊に出会ったことが一度だけある。学生時代に、上野から青森までを三陸海岸を経て自転車旅行をした時である。わが進むみちのくの国道を過ぎって行った。初めは熊だと分からず、近くに来てそれと分かって肝を冷やした思い出がある。