天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ダリア

大船フラワーセンターにて

 メキシコ原産のキク科の多年草で、日本へは1842年にオランダ船がもたらした。当時はテンジクボタンと呼んだ。多数の品種と花型がある。


     義仲の墓へダリアを剪りてくる   梶山千鶴子


  天地(あめつち)の哺育のままにあまえ咲くダリヤの花は幼な
  さびたり                伊藤左千夫

  君と見て一期(いちご)の別れする時もダリアは紅(あか)し
  ダリアは紅し              北原白秋

  おもかげに顕(た)ちくる君ら硝煙の中に死にけり夜のダリア
  黒し                  宮 柊二

  ダリアの葉いちめんに黒くこげただれむごたらしきがわれを
  取りまく                加藤克己

  ダリアはかぐろく咲けり脳やめる人ら集(よ)りゐてダリアの
  世話をす                遠山光

  鮮紅のダリアのあたり君がゆかずとも戦争ははじまつてゐる
                      塚本邦雄