天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳥兜

舞岡公園にて

 キンポウゲ科トリカブト属の総称。日本には約30種自生しているというから驚く。名の由来は、花が古来の衣装である鳥兜や烏帽子に似ているところから。塊根を乾したものは漢方薬や毒として用いられる。ドクゼリ、ドクウツギと共に日本三大有毒植物の一つとされる。アイヌは矢に根の汁をぬり熊狩りに用いた。


  草の葉に斬られし夏もとく過ぎて水分(みくまり)あたり咲く鳥兜
                       斎藤 史
  とりかぶともつとも蒼く繁る日に毒草園の幕舎が低し
                       安永蕗子
  自然林くだりて薬草園の一区画咲き残るエゾトリカブト紫の冷ゆ
                       新津澄子