天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春賦―城ケ島―

城ケ島・ウミウの岬

 ずいぶん久しぶりに訪ねた。以前に、北原白秋の足跡をたどるべく、休日になるたびに来たものであったが。城ケ島のバス停付近と観光船の停留所付近の店舗が取り払われて駐車場が増えていた。白秋による町興しに代って、観光船(島めぐり、海中観察)や魚市場による町興しに力点が移っているようだ。
 今回は、三崎漁港、城ケ島灯台、馬の背洞門、ウミウの岬、白秋記念館 と定番のコースをめぐった。見桃寺、椿御所などを訪ねることはやめた。朝遅く家を出たことと帰宅が夕方になるのが嫌だったことによる。


     初売りの鰤の箱詰め鳶が舞ふ
     初春の鮪喰らはむ三崎港


  初春の三崎港(みさきみなと)の競りの声錨おろして船は眠れる
  看板は去年(こぞ)のままなる「詰め放題三浦三崎のいかの沖漬」
  初春の朝日まぶしき海の上に雲のたなびく大島の影
  初春の朝のひかりに黒ずめる釣人立てり島の岩鼻
  岩を這ひ幅海苔摘める初春の媼に寄する潮(うしほ)やさしき
  幅海苔を買へと薦むる白髪の老婆のまへの馬の背洞門
  ペンギンの群と見まがふ立ち姿糞にま白き岬鵜の鳥
  初春の観光船がめぐりくる糞にま白きウミウの岬
  潮風の冬の寒さに咲き出でしつよくかをれる水仙の花
  さみしさは残れる店の看板の「いかの丸焼き」「さざえの壷焼き」