天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

みつまたの花

鎌倉長谷寺にて

 三椏はジンチョウゲ科の落葉低木で中国原産。樹皮の繊維は強く、和紙の原料として栽培された。高知が主たる産地になった。


     三椏や泥土より立つ神の鹿     田川飛旅子
     三椏のいろにはじまる雑木山    伊藤三十四


  枝ごとに三つまた成せる三椏のつぼみを見れば蜂の巣の如
                      長塚 節
  岩に打ちて人は三椏の樹皮を剥ぐ頻りに打てばながし木霊は
                      松村英一
  ひとり来て花に見られてゐたりけり三椏咲くは含羞の花
                      雨宮雅子
  饒舌を省くごとくにうつむきて咲く三椏は陽を含みおり
                      浜田陽子