天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

桑の実

近所の路傍にて

 桑はクワ科クワ属の落葉樹。夏に結ぶ実は、緑色から赤色さらに黒紫色に熟していく。


  うららかに雲雀あがれば幼児に桑の実くはせしばし
  居りけり              土屋文明


  生あたたかき桑の実はむと桑畑に幼き頃はよく
  遊びけり             佐藤佐太郎


  裏庭にひともとありて界隈の人らは知らぬ桑実(くわご)
  いろづく              山本友一


  紫に土染まるまで桑の実のつぶれし小径咽喉こそばゆく
                    植松寿樹

  わが子らと黒き桑の実を摘みあへり子らも信濃は恋し
  とぞ思ふ              宮地伸一


  思ひいでてひそかにたのし桑の実の熟るる葉むらの
  かのみそかごと           岡野弘彦