天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨さなか

暑さしのぎに

 今年は例年になく暑い、と感じる。世界のそこここで豪雨、竜巻など気象が大規模になっている。節電のために、わざわざ扇風機を買いにいってきた。できるだけエアコンを使わないようにするためである。昼夜、全ての部屋の窓を開けているのだが、明方にならないと汗が引かない。ウィスキーのオンザロックを毎日飲んで、寝付をよくしているつもりだが、熟睡時間は長くならない。
 湘南海岸の海水浴場では、海開きの後も客数は例年になく少ないようだ。福島原発事故が影響していることは明らか。海水浴場の放射能検査では、問題無いという結果が出ているのだが、気持が悪いのだろう。


     大磯の避難訓練梅雨最中
     梅雨けぶる二ノ宮、国府津、鴨ノ宮
     白鷺の思案顔なる青田かな
     昼寝覚め車窓弓手に茶の畑
     丹の色はのうぜんの花霧の朝
     にべもなくとり払はれしつばめの巣
     街路樹として山桃の熟したる
     おほ空の音をながむる端居かな
     濃く淡く東へ走る梅雨の雲
     床屋出でて夏の日差しに分け入れり


  新幹線掛川駅に着ておもふあの夏越えし小夜の中山
  新富士」に近づくほどに煙吐く製紙工場の煙突あまた
  深緑の里山道をわがくればコゲラはぎいと啼きにけるかも
  をみな児がねそべるごとき彫塑像べんてん橋の「雲の形」は
  例年になく海の家まばらなり梅雨のしめりの潮風の浜
  戦ひの勝ち方知りし将軍を神とし祀る児玉神社は
  梅雨ふかきヨットハーバー船体に青きシートを被せたる見ゆ
  吹き上ぐる潮風つよき谷間のなだりに咲けるカンゾウの花
  をさな児の背中に紐をくくりつけ犬にひかるるごとく歩める
  らふそくを立てたるさまの灯台が梅雨の夜空に明りともせり